千のナイフ

音楽は脳にいいとか言うけど、どういう音楽を聴くかでその人のどの感覚が研ぎ澄まされるか、どんな想像が惹起されるかというのは当然違ってくる。私が芸術について考えたいというときに、あるいはその音楽自体に芸術を感じたいというときに千のナイフほどよい曲はないかもしれない。(https://www.youtube.com/watch?v=dV8wdoQKKvM

この曲のタイトルと想像されるものには隔たりがある気がするけど(この曲を聴いているときに僕はナイフを想像しない)、これはとても日本的な音楽な気がする。知っている数少ない作家さんでいうと恒川光太郎さんの小説の世界がこの音楽に合うと思う。暗がりの中で異界の出店が並んでいる情景(夜市)と思えなくもないし、森の中に迷い込んだ先のイタチや狐の神様なり霊的な存在が出てきそうな世界に思えなくもないし、小気味よいテンポが物語の展開を表しているような感じがする。