獅子渡り鼻

小野正嗣さんは小柄で白髪の茶目っ気のあるメガネの方で日曜美術館という番組で司会をされている。ちょっと前の放送でハンセン病で隔離された方々の絵画グループである金陽会の方を取材した際に感極まっていた姿が印象的だった。

物語に出てくる小野さんの故郷大分の、海が近い集落のイメージが母方の丹後半島の実家のイメージと重なった(田舎のガソリンスタンドや猿が出てくる山やうねうねとした海岸沿いの道路)。

好きであることを伝えるために「月が綺麗ですね」という婉曲的な表現の例があるけど、これは作品全体を通して例えば物語に出てくる"大きなもの"であったりの何か婉曲的な表現になっている気がした。こう書いていると「そういうのを純文学というのではないか」と思われてくるけど、なるほどこういうのが純文学であると思われる。